PUNPEEという男
最近、フリースタイルダンジョンという番組がプチブレイクしている。
とくにネット界隈では騒がしく、一種のトレンドにもなっているようだ。
わたしも過去にブレイクダンスにドハマりしていた時期があるから、
こういうむさ苦しい感じの番組は大好きである。
冷めた一般人目線で見ればいくらでも突っ込みどころがあるのだけれど、
過去の血が騒ぎ、どんどん引き込まれてしまった。
まぁ、そのことについてはまた別で書く。
個人的な回顧録だけど、
ダンスにせよ、ラップにせよ、絵にせよ、HIPHOP文化は若者のよりどころなので、
90年代のJ-RAPは、ゴリゴリ悪い(世間からはみ出てそうな)若者が、
世間への不満や叫びをリリックにしたためたイメージが強かった。
まさに"悪そうな奴はだいたい友達"っぽい人たちが奏でる音楽=HIPHOP音楽で、
私も高校生の時は「チョイ悪」になりたくて、
ドラゴンアッシュやキングギドラ、ほんでライムスター(ここはダンス初めてからはまった)を聴くことにステイタスを感じてた。
根はオタク(アニメ好き、声優好き、コミュ障)だったにもかかわらず。 ニワカだ。
リリックの重さとか、韻のかたさなんてわからない(いまでもあんまり興味がない)
さて、そこで出会ったのがPUNPEE(パンピー)という男である。
2005~7年くらいは自分がダンサー現役時代でもあって、
ダンスバトルだけでなく、ラップバトルの動画もみまくっていた。
HIPHOPというと、いかにこわーい恰好を着こなせるかが勝負!の時代で、
ダボダボTに地面スレスレGパンにキャップを深くかぶっているような連中が多かった。(そういや、一時期、ダンサーの大御所連中がこぞって、片足のズボンのすそをバンダナで括ってとめるのがはやった。「俺は銃を足元に隠してないぜ、ピースだぜ」って意思表示らしい。リアルを売りにしているHIPHOPなのに、日本でそれをやっているのはどうかと思っていた)
そんな中、PUNPEEのスタイル。
まぁ、衝撃的である。
外見はどう考えても普通の子。まさにパンピー。
でも実力はいわずもがな。
そんでもって、音のスキルもある。
punpee's beat
もうなんか、色々目立つので、ダンサー界隈でもちょっと騒がれていた。
PUNPEEの飾らない雰囲気に共感できた子、多かったんじゃないかな。
PUNPEEの登場以降、地味系HIPHOP(というか、いわゆる飾らないHIPHOP)が増えた気がする。
それに便乗してかはわからないけれど、ちょうどダンス界隈でも、ドレッドやガングロではなくナチュラルな私服で、色白のまま踊る人が増えた。
そして徐々にそれがかっこいいと言われはじめた。
もちろん、あの恰好がPUNPEEの本当のリアルかどうかは、私にはわからない。
現に、中学のころからラップしているのだから、もしかしたらこの恰好は衣装なのかもしれないし、
だとすればそれはそれは本当に「やりやがった」と手をたたくしかない。
いずれにしても、彼がアングラに与えた影響は大きかった。それほど衝撃だった。
PUNPEEを知ったのが2006年。
そこから10年。
現在、彼はすごいことになっている。
「PUNPEEが作るんだから、これが正解」みたいな、彼への安心感。
この男、何でそこまで人の心をつかむのか…
今度、彼の才能と、"男としての色気"について、好き勝手に書いてみようと思う。