5lackへの期待
私が5lack(スラック)という個性的なアーティストに出会ったのは、やはりPUNPEEがきっかけで、あの童顔なラッパーに弟がいるのか!(どうみてもPUNPEEは末っ子顔だろ)と思って興味をもった(←不純)
5lack単体の音源はすごく繊細でリアル。好みは分かれるだろうけれど、その"素直さ"にハマる人が多い。クリエイティブの部分のみでいえば(プロデュース面はさておき)、兄よりも才能があるんじゃないかという声もある。
5lack With mabanua Band/HNGRI KILLIN!! - LIVE at UNIT [Weeken'] 2015.9.26
そんな5lackが珍しく一般メディアのインタビューに答えていた昨年の記事。
『音楽的な部分は10段階で5』というタイトル通り、日本のHIPHOPのレベルの低さをはっきり言葉にしている。そして自分は、そういうレベルの低い環境に惑わされず、しっかり深いものを作っていきたいという。
完全なアウトロー。
このインタビューを、"生意気な若手アーティストが、自分に脚光をあびない理由を、メディアや外部環境のせいにしている"と批判することはたやすい。
しかし、そうではない。
彼のいうように、商品の中身が未熟なのに、そのままお金になる部分だけをメディアが搾取して食い尽くすと、いずれそれらはまとめてゴミ箱行きだ。
5lackは、「アングラもメジャーも、日本のHIPHOPはどのみちレベルが高いわけではない。だったら、四の五の言ってないで、みんなちゃんといい音楽をつくりましょうよ」と語っているのだ(と解釈している)
確かに、「はやり」を「文化」にしていくには、アーティストの底力と体力が必要不可欠だ。消費者は思ったよりバカではない。だからすぐに気づき、離れていく。
5lackは、これまでアングラらしくストイックに音楽を追及してきたけれど、今後はさまざまなアウトプットをしてみたいと言う。
日本のメジャーでの活躍を目的にしているわけではないようだが、
比較的受け身であったところから脱却(とあえてこう書く)する5LACKが楽しみだ。
5lackは常に海外のレベルを基準にしているらしい。
彼の言うように、少し先の未来に「5lackって今聴いたらヤバイよね」と言われるのははもちろん素敵だけれど、
ズバ抜けてヤバくなれさえすれば、未来も現在も関係なく感動させることができる。
5lackには、ぜひ、飛びぬけてほしいと思う。できるだけ早くに。
結局、未来は、"現在"のつみかさね。今の活躍を無視することはできないのだから。
ちなみに、メジャーだろうが、アングラだろうが関係なく、
ライブ見た人みんなが「音楽ってすんげーだな!」と沸くだろう動画がこれ。
Lauryn Hill "Doo Wop (That Thing)" 06/14
いつか、こういうレベルのアーティストが揃う場所に、
日本語のHIPHOPアーティストが立って、観客を沸かしてきてほしい。
そんな日がきたら、たぶん号泣するだろう。